無断利用

無断利用について考える

過日、あるウェブサイトの投稿が、雑誌に無断利用されるという「事件」が起きた。
私のサイトも『別冊宝島415 現代怪奇解体新書』噂の心霊スポット100(p.200～207)の一件以来、久しぶりのことである。
分かっただけでも「人形の家」「佐倉市の城址公園」「畑トンネル」「五色園」「犬鳴山」「深泥池」「六甲山」「満濃池」「佐敷トンネル」のエピソード。
「五色園」のエピソードは、事実誤認の内容だったため、そこの住職から苦情が来ていたものだ。
と、ここまで前回書いたが、また起きてしまった。
今回は『フランス書院ムックGOKURAKU NAVIシリーズ　旅ホラーぶるる』府道62号線犬鳴山のトンネル(p.94,95)である。
これは、どう読んでも「Y君の体験談」のパクリである。
以下にあげる主な描写が酷似している。
- 10分遅れて出発する
- トンネルへと続く道は何十年も使われていないのか地道で、当然街灯などは無く真っ暗です。
- 深夜2時過ぎのトンネル内は真っ暗で原付のヘッドライトの明かりのみです。ただトンネルの長さはそれほど長くは無く、出口がうっすらと見える距離だったそうです。
- 旧トンネルへと続く道に樹木が生い茂り、余りにも狭かったので
- 距離からしてトンネルを走る時間が異様に長く感じられたそうですが(時間にして5分くらい)
- 友人は人を跳ねたらしく、跳ねられた人が見つからないので立ち往生している
- 友人の話では白っぽい着物を着た人が道路に立っていて、気が付いたときには接触して自分も転倒した
- 翌日から3人のうちの1人が何かに憑かれたようにおかしくなりました。それを心配したY君が様子を見に行った話では「鳩や猫を見て捕まえて食べそうになる」「言動がまともでは無い」「動物のような振る舞いをする」
Y君の体験談は平成9年3月16日投稿、同書は平成11年8月の体験談ということから、万が一、Y君の話がどこかの話だとしても、客観的に見て同書の話はつくられたものでしょう。
さらに問題なのは、前出のサイトの「無断掲載NO!」参加サイトのほとんどが、同シリーズ『つのだじろうの恐怖心霊ZONE』の心霊サイト紹介に載っていること。
おそらく、同社の担当ライターや編集責任者が違うためだと思うが、抗議運動そのものが、出版業界から軽視されているようだ。
『ぶるる』の【参考文献】には、書籍・雑誌・新聞はあるものの、ウェブサイトは一つもない。
サイトの著作権について「知らない・守らない・考えようとしない」出版業界には、あきれるばかりである。
ウェブにある怪談は、伝播とともに変化していくから、「聞いた話」として、似たような話があるのは当たり前のことかもしれない。
実話であれば、人間が日常生活の延長線上で体験する事柄ゆえ、話は似たり寄ったりである。
また、ある特定の場所で、探検や肝試しなど特定の行為をして、同じ様な体験談が生まれるのは不自然ではない。
ただし、前回(あるウェブサイトの方)の場合は、投稿の内容の順序と言い回しを変えただけであるから、参考資料として認めるには、各話の内容の利用割合からして難しいだろう。パクリと呼ばれても仕方あるまい。
もちろん、原話のニュアンスも変わってくる。
利用にあたって同意を得たのか、参考資料として明記したのか、が問題であろう。
伝播する体験談
以前、他サイトの掲示板に、私のサイトのある話が「私のサイトで読んだ話」として、ダイジェスト化されて投稿されたことがある。
しかし、その話は、ある事情によって私のサイトから削除されていた。
「自分が見た話」、「どこかで聞いた話」または「某サイトで読んだ話」なら見過ごしたのですが、その事情や同一性保持権に照らして、該当記事の削除を管理人さんにお願いしました。
(お願いしていない該当スレッドや関連するページまで自主的に削除していただいたようで、申し訳ありません)
ただ、そこの管理人さんは「URLを書いて引用しているのだから」と話していたが、用語を誤解している。
正しい引用の仕方とは、そもそも引用とはなにか。
- 引用する場合は原文のまま載せ、出自をどこかに明記しなければいけない。
  また、話をダイジェスト化したり、改変している場合は、出自を明記したとしても「引用」とは言えない。
  つまり、引用文は改変してはいけないということ。改変した場合は著作権法で定められている著作者の同一性保持権(勝手に内容を変えられない権利)の侵害となる。
  引用とはあくまでも、自分の文章を補助するためのものであるから、自分の文章がメインであり、引用文はサブである。
  原文などを丸々載せて、出自を明記するだけの場合は転載である。
- 出自が明記されている場合、ダイジェスト化したり、改変して載せられると、その内容から誤解を生じるおそれがある。明記していなくても同様である。
- 転載する場合は原文のまま載せ、出自は引用と同様であり、掲載許可が必要である。
- 参考資料としては、使った資料を巻末などに列挙する必要がある。
  「無断で～」と断り書きがある場合は、許可を得てから利用するのがマナーであろう。
数あるウェブサイトにも同じ事が言えるわけで、スポット情報の元ネタが、中岡俊哉著・二見書房刊『実写！！怪談百名所(実写！日本恐怖100名所の改題)』だと分かるものが多く見られる。
ところが、参考資料としてその書名をあげているサイトが、あまりないのが現状である。
最後に、「友達から聞いた話」が、友達自身の体験談ではなく「その友達が聞いた話」であった場合、元ネタが本やウェブサイトの内容である可能性が少なからずあるだろう。
当サイトに載っている話を、本や他サイトで見かけたら、メールで連絡していただけると助かります。
投稿された話をチェックするのに、本はともかくとして、他サイトの話と比較するのには限界があります。
自分がやってしまっては、いけないことですから、ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
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※(社)著作権情報センター

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