山の不思議
秋冬季限定(〜'98/02/28)


いままでに投稿された中からの抜粋です。
  1. 北海道からまた投稿させてもらいます。
    あれは21歳の大学生だった、当時探検部に所属していた頃のことです。
    夏の活動で屋久島に行くことになり、希望のあった8名の部員とともに8月に島に渡りました。

    屋久島はご存じのとおり、樹齢数百年の杉が残る、鬱蒼とした深い森に覆われた山でした。
    それでも標高が高くなると、杉は姿を消して見晴らしの利く低木や草地が現れて、山頂まで見渡せるようになります。
    有名な縄文杉や大王杉、ウイルソン杉を過ぎて、最高峰の宮之浦岳を目指して登っていた私達は、見晴らしの良い低木と草地の尾根道にさしかかりました。
    夕闇が迫り、この先の小高塚岳の近くにある小さな小屋を目指して、あと一歩、あと一歩と重い足をこらえて登っていました。
    それでも一向に小屋は見えず、すっかり陽が落ちて真っ暗になってしまいました。
    私達は懐中電灯を探しだすと、その光を頼りに登り続けましたが、グループを先導してた私達はここで次第に「迷ったのかなあ」と、不安になりました。

    その時、私達の進む尾根筋の前方に、かすかな光が見えました。
    小屋の明かりかと思ったのですが、考えてみれば小屋は無人で、電気など引いてるわけがありません。
    それに見つめているとその光は、ゆらゆらとまたたいて、時代遅れのカンテラの光のようでした。
    「誰かくるぞ、これで道を確かめられる」と急にホッとすると、思わず力が抜けてその場でへたりこんでしまいました。

    光はだんだん近づいて、やがて200mほど先の林に消えました。
    「林を抜けて出てくるだろう」そう思ってボーっと皆で尾根道の先を見ていたのですが、いつまでたっても現れません。
    そのうち遅れて登ってた最後の二人が追いついて、8人全員が揃いました。

    心細い気分になってた私達は元気をとりもどし、再び歩き出そうとしました。
    その時「おい、カンテラの光みたいなの見なかったか? 前からふらふら近づいてきたんだ」と、すぐ後ろから登ってた後輩が言いだしました。
    「カンテラって言えば、俺達が杉林を抜けて見晴らしの利く尾根道に出たとき、ずうっと後ろで弱々しい光みたいなものがゆらゆら見えてた。
    それで一体あれ何だって、きっと土地の人かなって思ったけど、ここから里まで5時間以上かかるし、絶対あれは変だった」。

    先頭で見た光は、私達を追い越して、仲間の間をすり抜けて、こんな遅い闇の中を下っていったのでしょうか。
    その日の8時過ぎに、やっと小屋を探し当てた私達は、あらためて皆とさっきの「カンテラの光」について話し合いましたが、結論はでませんでした。
    同じコースで同じような体験をした方、いたらぜひ教えてください。
    [秀太くんのお父さん]

  2. 小学生の頃、学校が企画したキャンプ合宿ってのに参加して、地元の山の中腹にテントを張って、夜を過ごす事になりました。
    日が暮れて山が闇に包まれる頃、僕はテントの中で妙な声を聞いたんです。
    「おーい、おーい」。
    それは、山の奥の方から聞こえてきました。

    友達も声に気づき、「誰かが道に迷ってるんじゃないか?」と、不思議そうに言っていました。
    人の迷うような大きな山じゃないし、それ故、人家なんてこの辺りには無いから、そんな声が聞こえるのはおかしな話なんだけど。
    その声が近付いたり遠ざかったりしてるのは、もっと不思議でした。

    「幽霊じゃないかな?」。
    友達が言ったその一言で、僕達は早々と眠る事に決め、毛布にくるまってライトを消しました。
    と、急に僕はオシッコをしたくなって起き上がり、テントの外へ出たんです。
    他のテントもライトを消して真っ暗闇で、静まり返っていました。
    「なんでみんな、こんなに早く寝ちゃったんだろ?」と不思議に思うほど。

    と、その時、木々の間の暗闇に何かが動きました。
    風かな?と思った瞬間、そこに一人の男の姿を見たんです。
    彼はこんな山の中でも、黒っぽいスーツにワイシャツで、ネクタイもきちんと締めていました。
    そして、ただじっと前方だけを見つめ、僕から10mほど離れた所を、テントの間をぬって通り過ぎてゆきました。
    さっきの声は、あの人の…と思った瞬間に何故か怖くなり、僕は慌ててテントに戻りました。

    次の日の夜、僕達がみんなで集まってキャンプファイヤーをしていた時です。
    突然、2,3人の生徒が、山奥へと続く道から泣き叫びながら飛び出してきました。
    その時は何があったのかさっぱり分からず、引率の先生達が彼らから事情を聞いて右往左往してるのを、ただ見てました。
    そしてそれから20分位で警察が到着し、かなりの人数の警官達が、山奥へと続く道に入っていった光景をよく覚えています。
    首をくくったサラリーマンが見つかったのは、僕達がキャンプファイヤーをしていた場所から、ほんの20mほど奥へ行った所でした。

    キャンプファイヤー中にオシッコをしたくなり、友達を連れて山奥へと進み、みんなから見えなくなったところでズボンを下げて用を足していると、頭の上で何かが揺れている。
    それが革靴を履いた人の足だと分かった時の驚きと恐怖を、友達は後に話してくれました。
    また、その人が黒いスーツにネクタイを締めた男性であった事も。

    いま思うと、あの夜僕が見た男の人は、生前の姿だったのか、それとも亡くなった後の姿だったのか、判断がつきかねます。
    死亡推定時刻なんて聞いてないから。
    だけど、どちらにしても、いや、生前の姿であった方が、僕はあの夜に見た光景を一生忘れられないと思います。
    [Full Moon]

  3. 私は現在、北海道に暮らしていますが、今から10年ほど前には京都にいて大学生活を送っていました。
    今回は、そこで経験した不思議な出来事をお話ししようと思います。

    あれは残暑の残る蒸し暑い9月中旬、前期試験のさなかでした。
    夜の1時すぎ仲間3人と情報通の友人宅に集まり、遅くまで持ち寄った情報を交換していました。
    しばらくして退屈してきた私達は、いつの間にか「もうやめてどっか行かへんか?」という事になり、みんなで何処かへ出掛けることになったのです。
    外はいつの間にか小雨が降りはじめ、その雨音を聞いていた私はふと、いつか友人から聞いた洛北の山奥で出会うという『周山街道の幽霊』の話を思い出しました。
    「霧雨の降る夏の夜中に周山街道の、とある峠近くの山道を通ると、断崖の道路脇で赤ん坊を抱いたずぶ濡れの女の人が現れる、という噂があるんだ」。
    この一言で、よしすぐ行ってみようじゃないかということになり、早速私達は『純君』の車に一緒に乗り込んで現地を目指しました。

    私は助手席に、純君が運転して、情報通とあと一人は後部座席に乗りました。
    ついでに、少しドライブするかということになって、私達は霧雨で濡れた夜の北大路を出発し、鞍馬街道を通り抜けて大回りしながら一時間ほど山道を走って、周山街道に抜けました。
    この道は舗装されてはいますが所々傷んで、夜はいっそう暗く、カーブも多い運転のしづらい道でした。
    京都に向かいずいぶん走ったのですが、相変わらず霧のようなガスがはり見にくく、周りは深い山と谷、曲がりにくいカーブを一つ一つ気をつけながら走っていました。

    「そろそろ高山寺のあたりかな…」そう言ってふと前を見ると、ガスがひいた道路の先、左が川へと落ちる右カーブの崖っぷちに差し掛かった所で工事用の赤い信号灯が目に入ったのです。
    「信号かあ…。何もなかったなあ」と純君がつぶやいて、信号が青に変わるまで何となく私達は前方を見ていました。

    みな無言のままでしばらくたって、パッと光が青に変わった瞬間「あっ、あれ…」、後ろの情報通が突然叫んで前に首を突き出してきました。
    びっくりしてひるんでいると、今度は隣の純君が「ひえっ、な、何だ今のは!」と身を乗り出して前を凝視しはじめました。
    何があったのか、一生懸命私も目を凝らして前方をにらんだのですが、霧雨に煙る?工事用の信号機と、左手の断崖、それに右手に迫る山並みと、そこに吸い込まれていく暗い道路があるばかりでした。
    純君は一目散にスピードをあげて車を走らせ、何も話さずひたすら前を見つめていました。
    あのとき彼らが見たのは何だったのか、しばらく彼らは語ろうとしなかったのでした。

    後日、情報通はやっと重い口をひらき、語ったところによると「信号が変わったすぐ後に、右手から人のような影が左手の方に走り去るのが見えたんだ、あまりにも恐ろしかったんで話す気になれなかった」と言っていました。
    純君はといえば、あの日以来、私達を避けるようになってしまい、しばらく後、何を見たんだと問いかける私に語ってくれました。
    「まさかとは思ったが、信号が青に変わってすぐ後、白い影のような女の人が、何かを抱えて信号機の少し向こうを右手から左へと滑るように動いていった。もう絶対あそこへは行かない」と。

    私には見えませんでしたが、今でもあの時の彼らの驚くさまが普通ではなかったことが印象に強く残り、同じような事を語っていた彼らは恐ろしい何かと出会ったのだろうと思っています。
    [秀太くんのお父さん]

  4. 私の勤めている学校の先生から聞いた話です。
    その先生が担任を受け持ち、静岡市の竜爪山(りゅうそうざん)へ、遠足に行きました。
    登り口の穂積神社で、クラス全員での記念写真を撮ったそうです。

    帰ってきてその写真を見ると、ある一人の女の子の頭に、とても不自然な大きな髪の毛(カツラのような)が、かぶさるように写っていたそうです。
    当然、その女の子の後ろで、そんな悪戯した生徒はいなくて、とても不思議がっていました。

    しばらくして、その女の子は、腕を骨折したそうです。
    そして、その女の子は突然、一家で引っ越し、どこへ行ったのかわからなくなってしまったそうです。
    [学校林]

  5. あれは、10年程前の事です。
    バイク好きの私は友人3人と、長野の美ヶ原周辺のワインディングを楽しんでいました。
    ふと気がつくと、一番先頭の友人の前に黒いオートバイが走っているではないですか。
    しかも、たよりげないフラフラとした走り方で、かなり古いバイクのように思いました。

    何個かコーナーを抜けると突然道が悪路にかわり、全員が一時停止しました。
    黒いバイクがいないので、先頭を走っていた友人に尋ねると「何、言ってんだよ。そんなバイクは見てないぞ」との答え。
    私は「こいつは、なに言ってるんだ。確かに黒いバイクが…」と全員に聞きましたが、誰も見ていないとのことでした。

    不思議な気持ちのまま悪路をスローペースで10分程走ったところで、また全員がストップしていました。
    なんとそこには、先ほど私の見た黒いバイクがボロボロの状態で木に突き刺さっていたのです。
    私が見たバイクは確かにこれだと言うと、友人たちは真っ青になり、その場から一目散に逃げだしました。
    私の見た物は、事故死したライダーの亡霊だったのでしょうか。
    [F.N]

  6. 丹沢山中にある清川村の沢の脇に、ダイナマイトを抱えて自殺したという跡がある。
    そこには石が積んであり、お地蔵さんまで置いてあり、相当供養したようだ。
    何も無いのにここまでする必要が有ったのだろうか?

    また、この近くの某学園の山小屋の前の沢には、昔、黄色い光と足だけあるという、お化け?が出たそうだ。
    一回目は雨の降る夜、一人の先生が沢の上流から懐中電灯のような光が、ふわふわこっちにやって来たので人が来たと思い、声をかけたが返事は無く消えてしまったという。
    その時、他の先生がやってきて、閉まっているはずのテントから滑り出す足を見たが、トイレに行った生徒はいなかったという。
    すると、また光が見えたそうだ。

    二回目はこれも雨の降る夜、先生が一人で泊まっていたところ、誰もいないはずの石段から足音が聞こえ、幻聴だろうと思い、トイレに行くと、また例の光が見えたそうだ。
    この辺りには、こういう話が多いのだろうか?
    [KK]

  7. はじめまして、初めて投稿いたします。
    私の勤めている学校の噂について、いくつかお話ししたいと思います。

    まず、私の学校は、山の奥深く山村の小さな学校で、昔は遠くから通ってくる生徒のために、寄宿舎がありました。
    12年ほど前、2〜3時間に1本のバスが通るようになってから、寄宿制度は廃止になりましたが、現在もこの寄宿舎の建物だけは残っており、遺跡で発掘された土器などを保管する倉庫になっています。
    この寄宿舎は、映画「学校の怪談」で使わせてくれないかという話もあったくらい、昼間でも不気味な所で、私も何度となく入ったこともあり、とても印象的な場所です。
    この寄宿舎では、私はまだその手の話は聞いていませんが、学校の校舎で体験したことをひとつ。

    夏休みの、ある日のこと。
    私は一人、学校でパソコンに向かい仕事をしていると、私の後ろを誰か、白い服を着た人が通ったような気配がしました。
    パソコンの画面に映ったように思います。
    てっきり、先生の一人が来たと思い、声をかけましたが返事もなく、辺りを探しましたが誰もいません。
    気のせいだと思い再び仕事を始めましたが、またしばらくして、同じようにパソコンの画面に、私の後ろを誰かが通るのが映りました。
    しかし、今度もまた誰もいません。

    その日は、それ以上のことはなく早々に帰りましたが、後日その話をしたら、同様の体験をした先生もいて、「この学校は出るのでは??」と言っていました。

    学校周辺の噂話を2つ。
    安倍中河内川沿いにある学校は、昔、旧日本軍の病院施設(隔離病棟)が在った所で、その付近の河原で写真を撮ると、心霊写真が撮れるという話です。
    怖いので誰も実行した人はいません。
    夏場はキャンプ地として有名な所ですので、もし勇気のある方はどうぞ。

    更にここからもう少し山へ行ったところに「布沢滝」という所があります。
    ここは、山道を少し歩かなければならないので、かなりの穴場なのですが、ここの滝の石を持ち帰ると、本人か家族に死人が出ると言われています。
    こちらもまだ実行した人はいません。
    勇気のある方、試してみてはどうでしょうか。
    [学校林]

  8. 1996年の夏のこと、当時は大学4年生で卒業研究のために山で植物を採集してばかりいました。
    人気のない山中や薄暗い森に入ることもしばしばありました。
    そんなある日のこと。

    岐阜県の山中で、一本道を車でゆっくり走っていた時のことです。
    道の真ん中で、小さな黄色い鳥が羽づくろいをしていたのに出会いました。
    鳥が道を開けてくれないと通れません。
    けれど、鳥のことだから近づけば飛んで行くだろうと思い、車で近づきました。
    しかし、そのままでいるのです。

    少し戸惑いましたがさらに近づきました。
    すると、「ようやく飛び立った!!」と思いきや、3mほど先に舞い降りました。
    「頼むよー、どいてくれ」と思いながら、また近づきました。
    すると、また3m先に舞い降りたのです。
    これを何回繰り返したことでしょう。

    もう先に進むのをあきらめて引き返そうかと思ったそのとき、鳥はどこかへ飛んでいきました。
    これで先へ進めると安心したのも、つかの間でした。
    カーブを曲がって急ブレーキ!
    なんと大木が倒れて道をふさいでいました。
    これでは引き返すしかありません。
    しかし、車をUターンさせるスペースはなく、バックでいくらか戻り、なんとかUターンさせました。

    大変なことに出会ったものだと思いながらの帰り道、再び出会ったのはあの鳥でした。
    今度は時々道に降りながら邪魔することなく飛んでいきます。
    まるで道案内でもしているかのようでした。
    不思議な感じを抱きつつも、もしかしてあの鳥は道が通れないことを教えていてくれたのではないかと思いました。
    だから、行く時には進む邪魔をし、帰る時には道案内をしていたのではと。

    鳥は、道の上を低空で長い距離飛びました。
    そして道の端に降りたのです。
    その横を車で通り抜けました。
    振り返ると黄色い鳥は、また羽づくろいをしていたのでした。
    田舎の山中の出来事でした。
    [植物を学ぶ大学院生]

  9. 以前、法事で鹿児島に行ったとき、親戚の一人(誰だかよく知らない…笑…高齢のおじさん)から聞いた話です。

    畑仕事の帰り道、藪に向かって小用を足していたときの事。
    山道を向こうからおりてくるものがあった。
    よく目を凝らしてみると、信じ難い事だが雛人形のような平安貴族のような格好をした、男女二人連れの小人だった。
    小人は彼の足元まで近づいてきて「これ! おまえ、こんなところでションベンなんぞするでない!」と、甲高い声で叫んできた。
    驚いて何者なのか尋ねると、「われは、この山の神じゃ! 無礼なことをするな」と答えたので、慌てて逃げて家に帰った。

    …という話だったのですが、話が話だけに私がちょっと真剣に聞けずにいると、彼はとても不満そうに「嘘を言っとると思っちょろうが、これは、ほんっとうにこの目で見たんじゃち」と、大まじめに言っておりました。
    何時頃なのか、どこの山なのか等も気になったのですが、周囲の人達の目も何だか気になったので深くは追求しませんでした(情けない…)。
    また何か思い出したらお便りします。
    [t-o-k-i]

  10. 昔、横浜市の南区に住んでいました。
    当時そこには、誰かの所有地である小高い山があったんです。
    幼稚園児だった私と友達二人は「他の人の山だから入っちゃいけません」と言われていたのも聞かずに、その山へと入って行ったのです。

    車が1台通れるような道がそこにはあって、3人はどんどん山道を登って行ったんです。
    私は、両脇にそびえ立つ木を眺めながら歩いていました。
    すると、フッと目の前が開けたんです。
    それは、歩いていた道の左側でした。
    こんな山の中に小さな山小屋と、その前に小さな畑。

    畑の中に1人のおばあさんが立って、こちらを見ていました。 にっこりと笑って。
    入ったら叱られると思ってたけど…。
    お婆さんの笑顔に少し安堵した3人は、そのままどんどん山道を上がって行ったのです。
    「うわぁぁっ」と、突然一人が大声をあげたので、私ともう一人はびっくりして逃げ出しました。
    実は、友達はヘビの抜け殻を見て驚いたのだった。

    今来た道を一目散に駆け出した3人は、再びあの山小屋のある道にたどり着きました。
    あぁ、あのお婆さんの所だー、そう思ってほっと胸をなで下ろし、山小屋を見た次の瞬間、3人は愕然としたのでした。
    たった今見たはずの畑がそこにはなく、山小屋はぼろぼろに半壊し、畑のあった場所には、ぼうぼうと草が茂っているではないか!
    「うわぁぁっ」。
    3人が再び悲鳴をあげて山を駆け下りたことは言うまでもなかった。

    結局、近所のおばさんに見つかって「立ち入り禁止の山」に入ったと、ひどく怒られたのだったが…。
    あの山小屋のお婆さんは一体誰だったのだろう?
    そもそも、あの山は誰が持ち主だったのだろう?
    なぞを残したまま今は全く違う所に住んでいる私。
    機会があったら行ってみたいと思う今日この頃であった。
    [レイ]

  11. なんだか、世の中には不思議な事があるようで。
    でも、結構後から考えると「気のせいだったのかな?」で終わる事も多いですね。
    本当に気のせいなのかもしれないし、気のせいだと思いたいだけなのかもしれないし。

    ついこの間、実家に戻って友達と遊んでたら、出ると有名な橋があるから行ってみようとの事。
    出るわけないだろと思って行ってみたら、ホントーに出なかった。(笑)
    ただ、橋に辿り着くまでの道のりで迷子になって、やたら真っ暗な山道を走ってゆくと、途中で行き止まり。
    不思議な事に、山道とはいえフツーに舗装されてる道が続いてたのに、突然目の前に森が広がって道が途絶えちゃってるんだから。
    どーなってんの?
    走ってきた山道には民家もなく、何のための道なのかも分からない。

    やっとの思いで車をUターンさせて、同じ道を戻る途中で、森の上にまっすぐ伸びている赤い光があった。
    レーザー光線!?
    こんなド田舎に、そんな洒落たもんが…?
    見ようと思えば見える。 でも、フッと見ると見失う。
    ずーっと空高く伸びている赤い光。
    何だろな?
    イメージは、誰かがその光に包まれて天へと昇ってゆくシーン。
    「誰か、死んだのかな…」友達がポツリとつぶやいた。

    実際にその橋に着いてみたら「ここって…鮎焼いて食わせるんで有名な観光名所じゃん」。
    よく両親に連れられて遊びに来たっけな。 もちろん日中に。
    なんで、夜になるとこんな風になっちゃうんだろう。
    後日、友達が電話で言った。
    「あの道、行き止まりなんか無かったぞ。民家もいっぱい並んでた」。
    …この程度くらいの不思議が、一番不思議だったりする。
    [RYUS]


    ここから下の話は、'96年度の季刊特別企画「冬季限定・山の不思議」にも掲載されたものです。

  12. たしか阪急岡本駅から、そう遠くない沢伝いに歩き出したのが夜10時を少し回った頃。
    その日は昼間から、30度を越える暑い日でしたから、寮の冷房が切れた熱帯夜を過ごすのが嫌で、涼しい六甲山で仮眠し、有馬の朝風呂にビールと決めていた。
    夜間登山も幾度か経験していて、自身でデザインしたヘッドランプを守り神にして、静かで暗い谷の悪路を歩き続けた。
    頂上に通じる峠まで、あと30分くらいかと独り言。したたる汗も、さすがに深夜の谷の冷気で止まり、遠くで聞こえていた野犬らしい遠吠えも無い。
    「ザック、ザク、ザク、ザク」。一定の調子で刻む足音が、いつくらいからか気になりだした。
    誰かが後を、つけてくる気配がして幾度も振り返る。ランプの光の先に照らし出された黒い湿って蛇行した道があるだけで気味が悪い。
    だんだんと早足になる。「ザッ。ザッ、ザッザ」、息遣いも乱れてきた。
    立ち止まる勇気も失せてきた。自分自身の足音とは信じがたくて、怖い想いが次々と浮かぶ。
    「あっ。ああ」、アシオトが背中にせまる。
    もうダメだ。走り出している。足音も聞こえない。苦しくなってきた。
    [海坊主]

  13. もう25年も前になる。
    高等学校の山岳部に所属していた私は、先輩の決定に従って飯豊連峰を縦走していた。
    私は当時2年生。ようやく奴隷の身からは解放されていたがOB3人,3年生2人で、そこそこ厳しい山行であった。
    当時は飯豊連峰は開けておらず、駅からトラックをチャーターして、行けるところまで運んでもらい、そこから歩き出すような始末であった。

    5泊6日であったと思う。下山日に高度を下げ最終宿泊地まで急いでいた。
    道は林を回り込むように続き、くねくねと見通しが悪かった。
    ザックは軽くなり気分も高揚し、16人のパーティーは快調に足を運んだ。
    やがて、林の脇に川筋を見るようになり、林と川に挟まれた細い道を進んだ。
    すると突然道がとぎれ、モッコ渡しが現れた。川の両側からロープを渡し、そのロープにつり下げられている網に乗って対岸に渡ることになった。
    川までの高度は7,8メーター、ほかに道がないので体重の一番軽い2年生から先に渡した。
    モッコは大きなきしみ音をたてたが無事に対岸に着き、次に荷物の運搬を行った。 その後全員が対岸に渡った。
    渡った先には河原に降りる小道があり、水面から十分な高度を取った場所が開けており、大きな木がはえていた。
    その木の根本に3張りの天幕を張り、幕営を始めた。
    夕食の準備と帰路の偵察を行い気分は最高、みんなで歌を歌い大いに盛り上がった。
    時刻は9時前後、山行としてはかなり遅くまで騒いでいたことになる。

    紅茶を飲み、残った食料を平らげ、さあ寝るかという雰囲気の時、OBの1人が不思議そうな顔をした。
    「どうしたんですか」と問いかけると「遭難者かもしれない。静かにしろ」と言う。聞き耳を立てたが川のせせらぎ以外に聞こえる物もない。
    OBが見つめている先を追うと、懐中電灯の光が林を縫うように近づいてくる。ヘッドランプを付けた登山者と同じぐらいの高さを、林の木々に遮られながらモッコに近づいてくる。
    仲間は次に起こるであろうことを想像し、静まり返った。
    すると、光が消え、あたりは漆黒に染まった。
    数秒ほどたっただろうか、2年生が「どうしたんでしょう、見に行きましょうか」と聞いた。
    OBは「ちょっと待て、もしかしたら帰路に失敗し遅くなったのが恥ずかしくて電気を消したのかもしれない、もうちょっと様子を見よう」と話した。
    モッコ渡しは大きな音がする、渡れば分かるし、異常があれば見に行き助ければいい。もう少し相手の出方を見ようという雰囲気で静寂の中数分ただ暗闇を見つめていた。

    すると、突然3年生が声を上げた。彼は大きな木の梢を見つめ「何だこれは」と叫んでいる。
    全員が立ち上がり、彼の見つめる梢を眺めた。 そこには先ほど梢に隠れながら近づいてきた明かりが輝いていた。10メートルほどの高さにかなり明るい光だった。
    「見てみろ」という叫びが聞こえた。懐中電灯を点灯し梢を照らす者もいた。すると突然明かりが消えた。
    「何だろう今のは」「化け物か」「何かの発光現象か」と緊張の後の話声がした。
    すると「まて、あれを見ろ」誰かの叫びが聞こえた。彼の指さす方向、川に沿って20mほど下流、今、梢で輝いていた光があった。
    その後、光は川を下るようにかなりの早さで移動し、やがて見えなくなった。
    もちろんその間にモッコのきしみは聞こえなかったし、偵察に行った自分は川に沿っての道がないことを知っている。
    光の大きさは20cmほど、ちょうどヘッドランプの光のような色だった。

    あれからずいぶん時間がたつが、いったい、あれは何だったのだろうか?
    生物が発光するような話を聞くことがあるが音もなく、あれほどの高速で移動できる生物があるのだろうか?
    [山男]

  14. 結構、有名な話だと思うのですが、山の怪談の中では最高傑作と思われるものを一つ…。
    4人で冬山登山をしていた登山家のグループが、吹雪のために小さな山小屋で一夜を過ごすことになった。
    とにかく古い山小屋で、ストーブも電気もない。
    これでは小屋の中にいても凍えてしまうと、4人は軽い運動をしながら朝を待つことにした。
    やりかたは
    1. 4人がそれぞれ部屋の四つの角にわかれて立つ
    2. まず1人が壁沿い右回りに歩いて次の角まで行き、角にぶつかったところで、次の人の肩をたたいてバトンタッチ
    3. 次の人が同様に次の角まで歩いて…
    といった要領で小屋の中をぐるぐる回る運動である。
    4人はこれを暗闇のなかで朝まで繰り返したのだが、下山してからこの話を聞いた人が不思議がって言った。
    「それはおかしい。だって、4人でそんなことをしても、最初に歩き出した人がいた角に誰もいなくなってしまうから、一回りしか出来ないはずだろう」。
    そう。一晩中小屋の中をまわり続けるには5人の人間が必要だったはずなのだ。
    [ひろ]

  15. 甲斐駒ヶ岳へ登った時のことです。
    北沢峠の近くの、山小屋の裏のテント場にテントを張りました。
    夕食を済ませ寝る前にトイレに行こうと、暗い中をヘッドランプを持って山小屋のトイレに向かいました。
    山小屋の前は木のテラスになっていて椅子やテーブルが置かれているのですが、私たちがテント場に着いた時はもう暗く、誰も座っていませんでした。
    ところが、トイレに行こうとその前を通ると、10人位の人たちが真っ暗な中、そこに座っているのです。
    不思議に思ったのですが「こんばんわ」と挨拶してトイレに行き戻ってくると、5分もたっていないのに誰もいないのです。
    また不思議に思いながらテントに戻りましたが、今でもそれが何だったのかわかりません。
    [hiroko]

  16. 先輩に聞いた話ですが、冬山合宿でテントに泊まっていたそうです。
    夜、外は雪が降っています。皆、昼間の疲れでよく眠っていました。
    風がテントを揺らしています。突然、顔に風が当たったので目を覚ましてみると、ひもで縛ってあるテントの入り口が開いていました。 「しょうがないな」と起きて縛り直しました。
    寒さのせいで、すぐに寝袋に入って目を閉じましたが、ふと目を開けてみると、いま結んだ結び目が明らかに何かに引っ張られるように「はらっ」とほどけるのが雪の薄明かりで見えました。
    先輩は声を出して皆を起こしました。 皆は風のせいだろうと言って、また縛り直して寝袋に戻りました。
    すると今度はテントの周りを人が歩く音が聞こえました。雪を踏みしめる「ザッ、ザッ」という音です。 今度は皆起きていました。その音はテントの周りを何回も何回も回っていました。
    いい加減一人が「うるせえぞ、静かにしろ」と大きな声を上げました。皆起きていたのでびっくりする者はいませんでした。
    いったん止まったその音は、少しするとまた回りだしました。
    頭に来た先輩はテントの中から音の方へ殴りつけるように拳を突き出しました。 その瞬間「あっ」と言ってすぐ引っ込めました。確かに手応えがあったのです。
    それから皆、目が覚めてしまい朝まで起きていました。
    日が昇り天気は回復しましたが、縦走を諦め全員下山しました。
    [フローズンアイ]

  17. 先輩に聞いた話ですが、春の新緑のなか単独で下山していました。長い下りでした。
    山は登るときは意気揚々としていますが、下りは虚しいものがあります。また、単調な下りは疲れるものです。 景色も見えず、ただ新緑の林の中を黙々と降りて行きます。
    ふと気づくと100mばかり先に単独で下っている人がいました。人間、単調な中に目標があると元気づくものです。
    「よし、追いついて声でもかけてやるか」と思ってペースを少し上げました。 ところが相手もそれに気づいてペースアップしたようです。
    もう少しペースを上げてみましたが、相手との差は縮まりません。とうとう疲れて立ち止まり、小休止を取ることにしました。
    すると前にいる奴も休んでいるではないですか。 顔はよくわかりませんが、全体的に緑っぽい服を着ているようです。
    その時、以前誰かから聞いた森の精だか何だかのことが頭をよぎりました。 それは森の精に捕まると、そのまま付いていってしまい行方不明になるというようなことでした。
    その途端、全身から汗が噴き出してきました。運動によるものではなく冷や汗です。
    先輩はすぐ立ち上がりました。やはり相手も立ち上がって今にも歩きだそうとしています。
    先輩はなるべく先にいる相手を見ないようにして、下山路を確認しながら歩き出しました。 先にいる相手を見たいと思う衝動を抑えながら、黙々と歩き続けました。
    まだ全身から噴き出す汗はおさまりません。悪寒のようなものも感じます。非常に長い時間歩き続けました。
    2時間ぐらい歩き続けたでしょうか。やっと冷や汗もおさまってきました。
    その時、前方から人の声がしました。一瞬「ドキッ」としましたが、見ちゃいけないとまた歩き続けました。
    その声はだんだん近ずいてきて、何を言っているか分かるようになりました。 どうやら二人の人が声を掛け合っているようです。 それは下から上がってきた二人連れの登山者でした。
    すれ違いざま挨拶を交わし、それとなく何人くらいの下山者と会ったか聞いてみましたが、パーティーが数組で単独は先輩が始めてであると言っていました。
    二人連れはそのまま歩き出しましたが、先輩はそこに少し留まっていました。
    ふと時計を見てみると、あの正体不明の下山者を確認してから、ほんの20分程度しか経っていませんでした。
    [フローズンアイ]

  18. 今から6年ほど前ですが、南アルプスの仙丈ヶ岳に二人のパーティーで登った時のことです。
    季節は秋、10月の下旬頃だったと思います。
    車で登山口まで行きましたが、登り始める頃には雨がぽつぽつ降ってきてしまいました。 しょうがなく雨具を着て登り始めましたが、当然山の上部は雲に隠れて見えません。
    登り初めて3時間程でしょうか、沢沿いの岩に白いものが乗っていました。雪です。
    2000mを越え馬の背ヒュッテに着く頃にはうっすら雪化粧となっていました。
    ヒュッテが開いていればここに留まって天気の回復を待とうと思いましたが、あいにく何処からも入ることは出来ませんでした。
    予定通りこの先の藪沢小屋を目指し歩き出しましたが雪はどんどん激しくなって行くばかりです。 やっと到着した小屋は建て直したばかりなのか、かなり新しいものでした。
    しかし、中に入ると先客のパーティーが居て泊まれるスペースがありませんでした。そこで隣にある古い小屋に行ってみました。
    中はかなり荒れていて雨漏りはするし、梁は曲がっていて床も抜けていました。 テントを持って来ていたので、抜けている床を避け小屋の中に張りました。
    外は益々下り坂と言った感じでまるで吹雪でした。 「こりゃ遭難するかもしれないな」などと冗談ぽく言っていましたが、内心ヤバイぞという感じはしていました。
    夜になり吹雪は一向に弱まる気配はありません。 小屋は揺れるし板壁は隙間なんてものじゃなく風が通り抜けていきます。
    夕食を済ませ、寝袋に入ったらすぐ寝付いてしまいました。 どのくらい時間が経ったか分かりませんが、ふと物音に目が覚めました。 何か小屋の中で、がさがさ言っています。
    テントから覗いてみると夕食に食べ残したパンをネズミが漁っていました。 「こんな3000m級の山でネズミが居るなんてすごいな」などと思いながらまったく収まらない吹雪の音を何気なく聞いていました。
    すると雪の中、人の歩く音が聞こえました。 どうやら小屋の周りを回るように歩いている様です。
    「まさかこんな夜中に到着するパーティーがいる訳ないな」と思っていると、壁の隙間から光が射し込んできます。しかも射し込む角度が変わり回っているのが分かりました。
    きっと隣の小屋の人が小便でもしているんだろう。光はヘッドランプのものだろうと考えてる間に朝になっていました。 雪はすっかり止んで快晴でしたが気温は低く夕食の食器が凍り付いていました。
    テントの中で朝食をとっているとき相方が「おまえ夕べ見たか」と聞いてきました。 「何を?」と言うと「夜中に光るものが小屋の周りを回っていただろ」と言いました。
    「あれは隣の人が小便でもしていたんじゃないの」と冷静な見方を伝えると、「俺もそう思って朝一で起きて見てみたら、両方の小屋の出入り口には足跡が残っているけど、この小屋の回りには足跡はなかったぞ」。
    [フローズンアイ]


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