ウォットは、静岡県浜松市にある、浜名湖を体験学習できる水族館です。





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 アサリ 

★アサリはどんな貝?★

アサリはハマグリなどと 同じ仲間(マルスダレガイ科)の二枚貝で、北海道から九州までの日本の他、 朝鮮半島や中国の一部にも住んでいます。





昔から食用にされていて、貝塚と呼ばれる石器時代のゴミ捨て場からはアサリの殻がたくさん見つかっています。

しかし、全国的にたくさん食べられるようになったのはわりと近年(1960〜70年頃)のことで、スーパーマーケットなどの量販店が常時取り扱うようになり、またスパゲッティのボンゴレなど外食産業で使われるようになったからとだと言われています。

最近では、そのまま料理に使える、生きた「砂ぬきアサリ」が常時買えるようになり、一般家庭で1年中食べるようになりました。

アサリは水から出しても、また温度が高めでも長く生きているため、流通に適しています。また、味も良く、和食にも洋食にも合うため、最近では元々アサリがいなかったアメリカなどの外国でも、たくさんのアサリが養殖されて食べられています。


★アサリはどんなところにすんでいるの? ★

アサリは内湾の干潟など、河川水の影響などで塩分がやや低めの、砂・泥の海にすんでいます。また、水深が5、6mよりも浅いところに多くすんでいます。アサリにとっては条件の悪い、干潮時に長時間干上がる場所や泥の場所にもいますが、成長が悪かったり量が少なかったりします。

浜名湖では、昔は弁天島周辺の浅い場所に多くいました。近年になり、湖口(今切れ口)の固定化工事、外海水を湖内にスムーズに流入させる導流堤工事、航路(みお)を掘る工事などが行われ、湖内の塩分が高くなり、最近では舘山寺や細江、三ヶ日など湖の奥の浅い場所にもすんでいます。




★アサリはどうやって増えるの?★

アサリは卵で増えます。外見からはわかりませんが、アサリにも雄と雌があって、雌は一回に数百万粒の小さな卵(大きさ0.06〜0.07mm)を産みます。

産卵の時期は一般に春と秋が中心ですが、同じ海でも場所によって差があり、全体的にみると冬を除いてほぼ一年中産卵しています。環境などの刺激で一斉に産卵するため、春など産卵が多い時期には、海が雄の精子で白くなることもあります。

受精した卵は10時間位でかえり、浮遊幼生(プランクトン)になります。1週間位で貝の形になり、2〜3週間で着底します。

  
★アサリはどのくらい大きくなるの?★

アサリの寿命は8から9年といわれ、殻の長さ(一番長いところ)が最大7cm位までになりますが、普通みられるのは大きくても5cm位までです。

浜名湖では生まれて半年位で2cmくらいになり、親になって卵を産めるようになります。生まれて1年たつと3cmを越え、食用サイズになります。

水温が適した春や秋には成長が早くみるみる大きくなります。特に春の潮干狩りシーズンには「一潮」(ひとしお:大潮から次の大潮まで)でかなり大きくなるので、小さなアサリは逃がしてあげましょう。


★アサリは何を食べているの?★

アサリは水の中の小さなプランクトンや生物の破片などを「えら」でこし取って食べています。

アサリだけでなく、二枚貝には「入水管」、「出水管」と呼ばれる2本の管があり、これから水を出し入れして砂の中に潜ったままでエサを含んだ水を取り込んでいます。

アサリが水をこす(ろ過する)量はかなり多く、しかもアサリが食べられないような汚れも粘液で包んで排出し、それはヤドカリ等の他の生物が食べます。そのため、アサリが多くいる干潟は、海水をきれいにするのに大変役立っているのです。


アサリの体


★アサリの模様はどうして出来るの?★

アサリの殻にはいろいろな模様が入っています。貝に限らず同じ種類なのにこれだけいろいろな色や模様がある生物は珍しいともいえます。

アサリの色や模様には一定のパターンがあり、基本的には全国どこでも同じ色、模様のアサリがいます。しかし、色や模様は遺伝することがわかっており、そのためその比率には地域差があり、場所によって多い色、模様があります。また、泥の多いところにいるアサリは、硫化物によって殻が一様に黒くなったり模様が消えてしまったりします。

二枚貝は、「ちょうつがい」のある殻のてっぺん(ここが子供の時の殻)をもとにして、内側から少しずつ殻を継ぎ足して成長します。そのため、複雑な模様のアサリも遺伝子に出来上がりの模様が組み込まれていて、これを もとに少しずつ模様を継ぎ足してあの規則正しい幾何学模様を作っているのです。


★ アサリのおいしい時期は?★

アサリは春と秋に太ります。これは産卵期で産卵のために栄養をため込み、また卵などを作る生殖腺が大きくなるためです。特に水温が上昇してくる春はエサを食べてどんどん太るため、1年中で一番おいしいアサリが食べられます。

  
★アサリの大敵ツメタガイ★

アサリは味も良く数も多いため、人間以外にもいろいろな生き物に食べられています。

全国各地でアサリの害敵として問題となっている生物は、ツメタガイ、キセワタガイなどの肉食性貝類、ヒトデ、ワタリガニ(ガザミ、イシガニ等)などのカニ類、トビエイなどの魚類、カモなどの鳥類があります。

中でもツメタガイは、浜名湖で「うんない」とも呼ばれる二枚貝を食べることに特化した巻き貝で、最近浜名湖で大発生して問題になっています。 ツメタガイは潮干狩りをしていても時々みられる茶色の丸いすべすべした 殻の巻き貝で、通常はぬめぬめした粘液に富むクリーム色の体(足:軟体部)を大きく広げています。


ツメタガイ

ツメタガイ


浅い海の海底が砂のところを好み、昼間は砂の中に潜っていて、夜になるとはい回ってアサリなどの二枚貝をおそって食べます。

その食べ方ですが、広げた足でアサリを包み込み、ヤスリ状の歯と分泌した酸でアサリの貝殻に穴を開け、そこから口(吻)を差し込んで中の身を食べます。穴を開ける場所はアサリの殻のてっぺん(殻頂部)がほとんどで、 一番殻が薄いからだと言われています。

中〜大型のツメタガイがアサリを食べる量は、1日あたり2cmのアサリで1個、3cmで0.5個くらいですが、最近浜名湖の南部ではツメタガイが大発生しているために非常に多くの量のアサリが食べられていて、穴のあいたアサリの死殻がたくさんみられ、アサリがいなくなった漁場もみられます。

ツメタガイは、卵と砂を分泌物で固めて、「砂茶碗(すなぢゃわん)」と呼ばれる砂色のお椀を伏せたような卵塊を生みます。砂茶碗一つには3〜5万粒の卵が入っていて、2週間でふ化して親と同じ形をした子供(ベリジャー幼生)が生まれます。


砂茶碗

砂茶碗


ツメタガイ幼生

ふ化直後のツメタガイ幼生


アサリを守るため漁師さんはツメタガイや砂茶碗の駆除を行っていますが、量が多くなかなか効果があがっていません。潮干狩りで見掛けたら、ぜひとも駆除(岸に上げる)に協力してください。

ツメタガイは粘液が多く、ぬめっと体を広げた姿はグロテスクですが、食べられます。ゆでると身が堅くなりますが、内臓(肝)も含めバイ(バイ貝、海ツボ)のようで意外においしく、更に料理を工夫すればなかなかいけます。刺身でもいけるとも言います。潮干狩りでとれたらぜひ食べてみましょう。


★アサリはどうやってとっているの?★

・漁業

漁業では、アサリは「かくわ(じょれん)」と呼ばれ る道具で採っています。

これはクシ状の鉄の歯のついたかご網に木の柄を つけたもので、船の上などで使う柄が長くかごの小さなものと、海に入って使う柄が短くかごが大きいものとがあります。これで採った海底の土砂を「ふるい」に開けてアサリを選り採るのですが、小さなアサリは採 らないように「かくわ」と「ふるい」の網の目の大きさは決められています。

漁師さんは「アサリの目」とも呼ばれる水管を「のぞきメガネ」で見てアサリが多いか少ないかを判断しています。船から採るより海に入って採る方が楽だと言われますが、海に入って採る場合でも深いところでは「げた」と呼ばれる「きゃたつ」のような鉄のはきものを足に付けて竹馬に乗ったようにして漁をします。

浜名湖は急流の大河のように潮の流れが速いところが多く、アサリ採りも大変な仕事なのです。


アサリ操業風景

アサリ操業風景


・潮干狩り

アサリ採りというと潮干狩りを思い浮かべますが、本来浜名湖のアサリは「漁業権の対象種」(畑の中の野菜のように漁師さんだけが採っても良い生物)で、本来は漁業者しか採ることができません。

しかし、昔から潮干狩りで採っていることもあり、潮干狩り場として開放している弁天島の瀬をはじめ、その他の場所でも幅15cm以下のクマデや手で掘る程度なら現在のところ黙認されています。このように自由にアサリを採れる場所は全国的にも珍しいといえます。

潮干狩りでアサリを採る場合、ほとんどのアサリは砂のすぐ下に潜っています。砂を深く掘るより、浅く広くさぐった方が良いでしょう。アサリは一面に同じようにいるのではなく、場所によってたくさんいたり少なかったりします。少ないところではいくらがんばっても採れません。早くたくさんいる場所を見つけることが大事です。

  
★アサリがとれなくなっている!★

近年、アサリは全国的に減っています。

九州の有明海などでたくさんとれていた1980〜85年以前には全国で12〜16万トンだった漁獲量が、最近では1/3〜1/4の4万トン前後に激減しています。そのため、最近では韓国、中国、北朝鮮などの外国からアサリを輸入して、年間10万トン以上といわれる国内需要をまかなっています。

浜名湖でも、高塩分化でアサリの漁場が拡大し、漁獲量が増加した1981〜82年には8〜9千トンの漁獲がありましたが、近年は全国と同様1/3〜1/4の2〜3千トンに減っています。

アサリ減少の原因については全国それぞれの地区で異なり、たくさんとりすぎたためとか、埋め立てなどの開発でアサリがすんでいる干潟がなくなったため、漁場に泥が流入したため、害敵に食べられたためなどと言われていますが、正確にはわかっていません。

浜名湖では、湖南部の潮流が速すぎてアサリ稚貝が流されること、ツメタガイなどの害敵に食べられることなどが原因として疑われていますが、まだはっきりせず、現在調査しています。



(解説:旧水産試験場浜名湖分場 後藤裕康)



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